魔術士オーフェン無謀編(1) てめぇら、とっとと金返せ!/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

てめぇら、とっとと金返せ! (富士見ファンタジア文庫―魔術士オーフェン)


金貸し魔術士オーフェンと、彼に何かとつきまとう無能警官コギー、彼女の実家の執事である、正体不明の男キースなど破天荒なキャラがが繰り広げる悪口雑言ファンタジー。短編集。5年前の、魔術士養成学校<牙の塔>でのオーフェンの日々を綴るプレ編も収録。完結してから初めての読み返し。


てめぇら、とっとと金返せ!:もと王宮拳闘士の家系と天候見張り役の家系の遺伝的ケッサク。「あなたたちは、傭兵なんでしょうか?」「はあ?」「傭兵だあ?今時、ンな物騒な商売してる奴なんてー--」既視感のあるファンタジー世界の破壊ってここら辺から既に始まってんのかなー。モンスターもいない、国も一つだけなので争う相手がいなくて比較的平和な世界。でも、武装強盗団とかに対抗するためにはそういうのがいてもいいと思うけど。需要と供給が成り立たないって話か。


とにかく一回死んでこい!:ミスト・ドラゴンの愛情表現。ソケット紙幣。……結局あの設定ってあんまし意味がなかったなあ。


ひとの話を聞きやがれ!:無能警官登場。ウサギ型のメモ帳。精霊ルヒタニ様とリンパ腺で交信。性差廃絶主義者と書いてフェミニストと読む。蹴りたい背中
なんかすごい字面ですよね、性差廃絶主義者。魔術士の場合、男女の肉体による力の差とかあんまり関係ないからそういう思想が受け入れられてんのかなあ。


なんでお前はそーなんだ!?:ダイアン部長刑事登場。切り裂きポチョムキン。コギーのオカルト趣味って作者本人の趣味だよなあ。


いいから死人は黙ってろ!:女連れで夜ばい。オーフェンの寝言を可愛いと評したり、この頃のコギーはわりとその手の描写があるんだよな。色気はあんまりないけど。で、中盤は完全にギャグキャラで、終盤に入るとまたヒロインっぽくなってみたり。


思えば俺も若かった:こういうのって、ひょっとしてひとりの女の人生を救ったってやつなのかなあ。


私の場合、初期の頃はオーフェンってそれこそ乱暴者ってイメージが強かったんですが、それってまだ罵詈雑言を吐き出すオーフェンの舌がそれほど滑らかじゃなかったからなのかなあ。口より先に手が出る、というか。実際はそうでもないんだけど。