ひだまりスケッチ#12「サヨナラ…うめ先生」
最終回。一部放送事故っぽいこともあったりしたけど、それで失望したりということは、不思議なことにあまりなかった。多分、これまで新房監督とSHAFTの作品を観てきて、そういったことに対する耐性がついてきていたからだと思います。そういったこと、というのは普段からの紙芝居的な演出もそうだし、『月詠』の時みたいに絵が間に合わず音声だけ、みたいな事件を引き起こしかねないという意味でもそう。普段からやってることが、騒がれるような事態の場合はよりひどくなるだけ、というか。本来意図したはずの見せ方、意図していなかった見せ方、という違いはあるけど、作り手の意図を理解しようという考えがそもそも最近薄いので、そこら辺はわりとどっちでもいい。出てきたものが全て。だから、修正がなければなかったで別によかった気もする。……ちょっと苦しいか。
この作品のよかったところは、閉鎖的な空間で女の子が過ごす日常を見ていたいだけっていう自分の欲求と、新房監督独特の書き割りっぽい世界がうまくマッチしていたことじゃないかと思う。主な舞台はひだまり荘で、次が学校だけど、それ以外の情景がほとんど出てこない。背景に山とか、海とか、森林とか、そういった世界の広がりを感じさせる自然物が徹底して描かれない。『おねがいティーチャー』『おねがいツインズ』を手がけた草薙とか、J.C.STAFFの小林七郎の背景美術なんかとは対照的。なんでかっていうと話は単純で、要らないから。媒体は違うけど、ライトノベルとかの場合もそうですよね。作者も読者も、情景描写をあんまし重視してない節がある。そうやって余計なところを徹底的に省いていくと、結果、自分が見たいキャラクターのやりとりだけが浮かび上がってくる。そんなところが、至極日常的ではあるけどどこか現実離れしている『ひだまりスケッチ』の世界を描くのに適してた気がする。