街角花だより/こうの史代

街角花だより (アクションコミックス)


勤めていた会社をクビになったやり手っぽいお姉さん・清水凛さんが、ちょっと抜けてる野暮ったい女性店長・日和うららの花屋にアルバイトで入るところから話が始まる、お花屋さん漫画。『夕凪の街 桜の国』でなくこっちで初購入、ってのが自分らしいといえばらしいのかな。てか、これデビュー作なのね。


テーマがテーマだけに情緒豊かな作品ではあるけど、それ以上に主人公の女性二人の関係が。時折店長がりんさんに熱い眼差しを送ってたり、店長に手をマッサージされて赤くなってるりんさんの背景に点描が飛んでたり、店長の眼鏡の下のきれいな目を見てどきどきしたり、謙遜するりんさんの水着写真を店長が執拗に見ようとしたり、あまつさえ店長の弟に「やっぱり店長に似てるんだな」なんて言ってキスなんかしちゃったりして(書いてる内にテンション上がってきた)!そういった直球で匂わす(矛盾してるけど)描写というのも多いんですが、どっちかというと日常的なシーンの方がお気に入り。エプロンの紐を直してやったりとか、地味なんですけどそういうシーンが和みます。



これはまだ2話で、りんさんが働き始めてから間もない頃だと思うんですけど、なんだか既に信頼関係が垣間見えるのがいいですね。あとあれ、喉痛めて声が出ない店長から花言葉で意思を受け取って、接客するシーンとか。恋愛感情とかなくとも、その先に妄想エンジンを働かせなくとも、友達同士の何気ないやり取りというのは、それはそれでご褒美なのです。この漫画は、ちょっと危ういところですが。百合、というとなんとなく学生同士というイメージが強いので、社会人同士だとそれだけでちょっとガチっぽい気もします。そもそも、最終話のタイトルが「百合色の人生」だしなあ。


最近大量生産されてる男オタ向けにカスタマイズされた(?)ど直球の百合には食傷気味、という人におすすめ。私はどっちも好きですけどね。『ストパニ』とか。