星界の断章Ⅱ/森岡浩之/ハヤカワ文庫JA

星界の断章〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

シリーズ累計160万部突破!星界の逸話集第2弾


帯から抜粋。……あ、あれ?確かどっかで200万部とかいう数字をどっかで見た気がするんですけど、減ってません?こういう数字が水増しされるのは常なんでしょうけど、減ってるのは初めて見ました。


1年と半年ぶりの短編集第2弾。と言っても私は二ヶ月ぶりくらいなんですが……。今回はおふざけはあまりなし。全12篇。


内容とはあんまり関係ないんですけど、興味深かったのは『祝福』。帝都王宮には<四季の苑>と呼ばれる4つの庭園があって、そこでは春夏秋冬それぞれの気候を一年中保つように調整が為されているとか。ここらへんは、アーヴが彼らを産んだ弧状列島の人たちの文化や風習を汲んでいるからで、<春の苑>には彼の人たちが愛でた桜も当然植わっているのだけど、ずっと花を咲かせているのは苦痛だろうということで、一ヶ月周期で咲くように調整されているとか。


なんか、アレですよね。桜が1年中咲き続けていてはいけない、というのは確かに某弧状列島の人たちの価値観だなあと思うんですけど、一ヶ月周期なら問題ないという辺りにズレを感じます。現代の価値観に照らし合わせるなら、きっと風情がないと怒られることでしょう。それは、長い長い時間の経過によって価値観が変質したからか、アーヴが地上に住まわず基本的に宇宙で生活しているために動植物との接し方も違うのか、或いは、普遍的な人類とは寿命が2倍も3倍も違うから、時間的な感覚(=季節感)が異なるのか、それとも……とかそんなことを考えました。