十二国記 図南の翼/小野不由美/講談社X文庫ホワイトハート

恭国は、先王が斃れてから27年間、荒廃の一途を辿ってきた。豪商の娘である珠晶は生まれてから12年間、何不自由なく暮らしてきたが、見るに見かねて、自ら王に立候補する。

これまで、その是非はともかく、その説教の仕方に馴染めないまま読み進めてきましたが、この巻は反発が少なかった。多分、珠晶が一方的に説教されるんじゃなく、ちゃんと自分なりの考えを持っていて、それが物語の中で受け入れられるからだと思う。彼女は、そりゃまだ12歳だから人生経験が薄いのは当たり前だけど、だからといって彼女の言っていることが即座に否定されるわけではない。ただ、発言に責任が伴うのは当然で、子どもにはまだそれが重荷だから、発言権が少ないというのも納得できる。だから、自ら昇山に挑んだ上で、物を言う。

大人VS子ども、という構図はライトノベルでは頻繁に見られるものだけど、これはなかなかしっくりきました。まあ、これは珠晶のキャラクターに依るところも多いんだろうけど。

あと、これは内容とは関係ないけど、漢字が増えてくると、ホワイトハートのフォントだと字が大き過ぎてちょっと読み辛いかなあ。