星界の戦旗Ⅰ 絆のかたち/森岡浩之/ハヤカワ文庫JA

　

はあ、エクリュアさん可愛いなあなどと言うかと思ったかこの馬鹿！はあ、エクリュアさん超可愛いなあ。「猫抜きで三角関係をやってくれたら、坊やなんて呼ばないさ」とサムソンさんは仰いますが、猫アリの三角関係の絶妙さがなんともいいですね。

「星界」新章。「紋章｣から3年、<人類統合体>に対し、アーヴは反撃を開始していた。一隻の突撃艦を与えられたラフィールと、学校を卒業しようやく星界軍に入隊したジントも、この戦線に参加する。

ということでより一層本格的にドンパチするようになった艦隊戦。面白いものの、何かもう一つ物足りない。敵側である<人類統合体>の描写がほとんどなかったからでしょうか？それはそれで、アーヴ側に深く感情移入することができていいのかもしれないけれど、でも、現実にはいないような世界の住人を描く場合、どっちかというとより我々現代人に思考が近い方に視点を据えるのが定石だと思ってたので、アーヴが視る側、<人類統合体>が視られる側って構図はちょっと新鮮だったかも。まあ、そのアーヴの中で誰が一番読者の目となっているかというと、当然主人公であり人類であるジントなので、あんまり意味のない話かもだけど。

• ルビは趣味だから読み飛ばしてもいいとか拘りがあるのやらないのやら。
• 「こんな時代だからこそ、気楽に読めるSFを」（紋章3巻）から「SF冬の時代に真っ向勝負」へ狙いが変化していったんだろうか。いや気楽で且つ真っ向勝負ではあるけどな確かに。