BIOME 深緑の魔女/伊東京一/ファミ通文庫

BIOME―深緑の魔女 (ファミ通文庫)


地表の96%以上を占めるという樹海。人は、その隙間で細々と暮らしている。主人公は、樹海を渡り歩く術を身につけ、人々の生活に役立てる<フォレストセイバー>の少女だ。彼女は、旅の途中に立ち寄った街で大量発生している害虫駆除の仕事を請け負うことになる。第2回えんため大賞受賞作。


今月に「バード・ハート・ビート」の新刊を出す予定の伊東京一のデビュー作。「バード(略」を読んでから(http://d.hatena.ne.jp/megyumi/20050920/p1)すぐ購入はしてたんですけど、1年近く積んでたんだなあ……。


感想としては、http://www.enterbrain.co.jp/entertainment/entame02/novel02.htmlに載っている久美沙織の選評とは全く逆で。世界設定のディティール部分は、ここ最近読んだものの中で類を見ないほど魅力的であると思いました。まあ、確かにオークが熱帯のイメージにそぐわない、ってのは言われてみればそうですし、実際のところあとがきを読むと筆者は生物学の専門家とかではないようですが、別に気になるほどではないと思うんだけどなあ。ここら辺は、実際に書いてる人とそうでない人の差でしょうか。久美沙織自身、あとがきに参考文献をずらっと並べるような人だし。


ただ、話に関しては伏線の回収がうまいという人もいるけど、私としては色々うまく行き過ぎのようにも感じられてしまいました。ここらへんは私がひねくれてるからかなあ。上のリンクによると、この話書いてデビューした時、既に30代中盤という結構な遅咲きなので、話の方も落ち着いてるから、とか?


つーか<森林保護者>と書いて<フォレストセイバー>と読ませてるけど、人間から森林を保護するってことは全くないですよねこれ。自然界は、人間に護ってもらう必要があるような、脆弱な存在ではない。……という主張があるかどうかは知らないけど、安易にそういう方向に走らないのはいいですね。