我が家のお稲荷さま。/柴村仁/電撃文庫

我が家のお稲荷さま。 (電撃文庫)


高上透と昇の兄弟は、他界した母の実家・三槌家に呼び出される。そこで彼らを待っていたのは、三槌家の守り神であり、現在は封印されている狐神・空幻天狐であった。第10回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞作。


なんとも捉えどころのない作品でした。日常と非日常の分離という意味では、「食卓にビールを」ほど完全に非日常=日常になってるわけでもなく、かといって両者のメリハリをはっきりつけるわけでもなく。アクションシーンとか、分かりやすく盛り上げる気があんまりないのは明白なんだけど、だからといって手を抜くわけでもなくきっちり書き込む辺りがかえって何をメインに据えたいのか分かり辛いのかもしれません。そういう味なのは分かるし、これはこれで楽しいんだけど、でも恵比寿様のあの引きを二度続けて使うのはどうかと思いました。


キャラクター同士の距離感は好きです。昇の同級生の女の子とか出てきた時はすわハーレム物かと思った、というかキャラ配置から明らかにそうなるんじゃないかと予想してたけど、少なくともこの巻ではクーもコウもそういう雰囲気は見られないし。つうか多分これ、ハーレム物にしようと思ったら弟出さないよな。大体、押しかけハーレム物の主人公って一人っ子だし。どうかあんまりそういう方面に行きませんように。


なんとなく連想したのは「吉永さん家のガーゴイル」。タイトルからして「我が家の」⇒「吉永さん家の」、「お稲荷様」⇒「ガーゴイル」ですね。いや、これは冗談半分ですけど。


あと、キャラの言動に対して作者が地の文で突っ込むのが、なんとなく川崎康宏っぽかったかも。