ギャグとコメディの境目
について、最近よく考えます。同じものなんじゃないの?という人は、巷で「ギャグコメディー」という煽りをつけられた創作物がどれだけあるか、思い出してください。同じものなら、繰り返す意味もないはずなんです。使っている人が意識しているかどうかは分からないけれど、ギャグとコメディの違い、というのは多分どこかにある。
辞書的な意味・用法
まず、goo辞書を参照してみます。
ギャグ 1 [gag]
映画や演劇などで、観客を笑わせるために筋と関係なく挿入される即興風な台詞(せりふ)や動作。
「―をとばす」
きげき 1 【喜劇】
〔comedy〕
(1)諧謔(かいぎやく)・機知・風刺などに富む演劇。幸福な結末をとるものが多い。コメディー。
⇔悲劇
(2)人が思わず笑い興じてしまう滑稽な出来事。
(「コメディ」の項では「喜劇」としか記されていませんでした)
案外、あっさりと明瞭な解答が出てしまいました。ギャグとは、喜劇というジャンル作品の中に含まれる手法です。これを読むと、「ギャグコメディ」という言い方はしても「コメディギャグ」という言い方はあまりしないのも納得できます。あの場合の「ギャグ」というのは「ラブ」コメディだとか「ホーム」コメディだとかいった枕詞の一つに過ぎないんですね。また、コメディとは必ずしも人の笑いを誘うものではなくてもいいことも分かります。一方、ギャグにも色々あるけれど、それがどんな種類のギャグだろうと、人を笑わせるためのものであることに違いはありません。
両者の持つイメージの違い
コメディは柔らかいもの、なんとなくオシャレチックなもの。ギャグは下らないもの、お堅い文章の中で使うと違和感を覚えるもの、というのは語感の問題なんでしょうか?
色んな意見
ギャグは笑いを喚起するレトリックのことです、コメディは悲劇と対偶をなす喜劇という意味なので、ギャグマンガ?コメディマンガ?との区別は意味がないと思います。広義ではギャグマンガは全てコメディマンガなのです。
コメディの中にギャグが存在するのだと言う意見。これは、前述した辞書的な意味と一致します。そういえば、ギャグの対極ってなんだろう。シリアス?ギャグ=笑いだとしたら、どっちかというと無感動とかになりそうだけど。
ギャグ漫画とコメディ漫画の違いのひとつとして、作者が作中に顔を出すかどうかが挙げられるだろう
ちょっと面白い意見。今、自分の本棚にある漫画をこれに従って分類すると、「あずまんが大王」「よつばと!」はコメディで、「あずまんがリサイクル」はギャグとか?後者は他の漫画のキャラとか出てくるから反則かなあ。で、あとは「苺ましまろ」の初期バージョンもギャグ。「B型H系」はコメディ。「サンレッド」「黒沢」は、ツッコミや欄外の書き込みは作者自身を強く感じられるので、ギャグ寄り。「ニニンがシノブ伝」は男の登場人物が全員作者の分身みたいなもんだけど……うーん微妙。「BASTARD!!」は完全にギャグですな。
でも、そう考えると、地の文でどうやったって作者自身が強く前に出ることが多い小説では、コメディと言うものは成立しづらいのかもしれない。
まあ、リンク先で「作者が出てくること」と言っているのは、「ストーリーをぶち壊してでも笑いを優先させること」の例に過ぎないんで、この当てはめ方もおかしいんですが。
ある設定に従う「ハヤテのごとく!」はシチュエーション・コメディであり、一方久米田康治がやっているのはシチュエーションもぶっ壊すギャグ、なのかなぁ。
これ、上のリンク先に呼応するかも。つまり、作者が作中に出てくるのは完全に「お約束」の度を過ぎてフレームをぶち壊す行為なんですよね。だからギャグ。
リンク先の人たちが、みんな「改蔵」か「ハヤテ」のことを話しているのは偶然です、多分。