ガイナックスインタビューズ/堀田純司/講談社

ガイナックス・インタビューズ


500Pと膨大なインタビュー集。さすがに全部読んでる時間はないので、興味あるとこ以外は斜め読み。

  • 第3章摩砂雪の章より。エヴァでは、対使徒迎撃要塞都市であるところの第3新東京市が全然機能していない。
    • ははは、確かに。都市自体が防衛機能を備えてはいるけど、あくまで内部電源だと3分しか動かない不自由な兵器の機能を最大限発揮するための舞台でしかありませんよね。アンビリカルケーブルのコンセントや射出口が至るところにあるとか、そういうギミックは満載。でも決定的な武器はない。陽電子砲とかどっかに設置すりゃいいのに。
      • そういう、裏方的な機能がなくなったらどうなるのか、ってのを描いたのが「静止した闇の中で」だったのかな。
  • 第6章佐藤裕紀の章より。フリクリは、アニメーターの即興芝居のためのスペース。
  • 第10章神村靖宏の章より。「エヴァンゲリオン」とネットワーク社会
    • エヴァンゲリオン」は、大きなブームとしてのお客さんの反応を、リアルタイムで受け止めながら作っていくことになった、最初の作品。
      • 結局、そこら辺が私がいまだにエヴァを嫌ってない理由の一つであり、同時にエヴァオタとして足りない部分かもしれない。要は、当時のネット―ワークでの狂騒というのを経験してないんですよね。ネット環境どころかPCもなかったし。周囲の友人たちもどっちかというと温厚な人が多くて、タカ派はいなかったし。これは鍵ゲーとか、リヴァイアスとかについても言えることなんですが、一番面白く、一番荒れたであろう時期の共時体験が皆無ってのは実に残念です。
    • 「あなたの本名は、実は100万人の人に対しては固有名詞ではない。匿名と同じなんですよね」
  • 第11章鶴巻和哉の章より。「AIKA西島克彦鶴巻和哉が描くエロの相違
    • 「なんでそんなにカッコつけたアニメをつくってるんだ!」「おっぱいとかパンチラとか、そういうことだろう、アニメは!」
      • ああこれ、すごい象徴的だなあ。フリクリ#3「マルラバ」とか特にそう。下半身何もはいていない状態ですごいキックアクションをこなすんだけど、早すぎて見えそで見えない。そういうのがすごい好き。
  • 同じく11章より。「"トップをねらえ2"じゃ面白くないから、いっそ"トップをねらえ3"にしちゃいなよ」「いや、でも、"トップ2"はどうするんですか」「"トップをねらえ2"は皆さんの心の中にあります」
  • 第13章赤井孝美の章より。日本は、もともと同人誌文化の国だった


で、ここまで書いといてなんなんだけど、私ってエヴァオタであってもガイナオタではないんですよね。強い愛着があるのって、エヴァフリクリぐらいだし。というより、特定のアニメスタジオ、ひいてはアニメ製作者個人に対して強い愛着をもったことが、あまりない。これってなんでかを少し考えました。


まず、アニメが基本的に集団作業だから、どこまでが個人の仕事か外部には分かり辛い、というのがあります。監督と言っても名前を貸してるだけ、という人もいると聞くし、脚本をどんどん改変していく人もいる。上がってきた絵をどんどん自分好みの画に変えていく作画監督もいる。要するに、クレジットの役職が信用できないんですね。それなりに確実にその人の仕事って言えるのって、音楽担当くらいですか。作画オタと呼ばれる人たちは、そういうのを見分ける能力を有しているんだろうけど、現時点で私にはそこまでの能力も情熱もない。そういう状態で、個人の作家性に注目できない。まあ、これは別にアニメに限った話ではないんでしょうけど。


スタジオに関しては、まずオリジナル企画が少なくて、このスタジオはこういうのに強い!みたいなカラーが見えづらい、というのが一つ。せいぜいがサンライズガンダムを始めとしたSF・ロボット物、IGはリアル系、東映は児童向けとか、私の認識はそんな程度。そしてもう一つ、こっちのが個人的には重要なんですが、アニメーターってフリーの人が多くて、会社の枠にとらわれず色んなとこで仕事してるパターンが結構多いらしいんですね。勿論人によるでしょうが、だから「○○先生の作品が読めるのは○○だけ!」という風に、アニメスタジオのイメージ=そこに所属するアニメ製作者のイメージとはいかない。いや、ジブリに宮崎あり、IGに押井あり、サンライズに富野あり、という人もいるでしょうけど、少なくとも原画家シナリオライターのイメージ≒エロゲー会社各社の持つブランドイメージほどには、アニメ会社のそれは固定されてないんじゃないかなあと。2chのエロゲ板はブランド別に分けられてる方がメインで作品別はサブ。アニメはその逆、というのはそこら辺を証明しているんじゃないかと。


まあ、なんだかんだ言って、私にそういうことを愛好する資質が欠けているってだけの話なんですが。このインタビュー集を読んで、GONZO村濱章司始め、みんな色んなところで仕事してるなあ、とふと思いました。