紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像/斎藤美奈子/筑摩書房

紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)


タイトル通りの本。面白かった。

  • 男の子向けアニメのタイトルは強そう、女の子向けアニメは可愛らしい
    • だからって「サンダーストロンガー姫」とかいうタイトルでも嫌だけどな。
  • 男の子の国の基盤は科学技術、女の子の国の基盤は魔法である
    • まさにこれを逆転・もしくは融合させたのが「リリカルなのは」じゃなかろうか。
  • 女の子アニメの視聴者は、実際には10歳未満の低学年が中心なのに、ヒロインはその少し上の年代が主流である。これは、そのくらいの年齢までが、「女児に見せるにふさわしい可愛らしい女性像」だからである。
    • これはちょっと違うんじゃないかな。ヒーロー、ヒロインの年齢を主要視聴者のちょっと上に設定するってのは、憧れの対象として主人公を見るからじゃないでしょうか。小学生は中学校生活に憧れ、中学生は高校生活に憧れ、高校生は大学生活に憧れ、大学生は社会人に憧れ、社会人は学生時代を懐かしむ。
  • 紅一点のヒロインは、大抵男たちにちやほやされる「お姫様」であり、突然母性を発揮する「女神」になるかと思えば、ときには半人前のトラブルメーカーにもなる。
    • いや、それって少女漫画の主人公も一緒じゃ……
      • というか、むしろ少女漫画から輸入したヒロイン像じゃ、と考えたくなりました。
  • 紅の戦士は父親の威光をカサに着た「七光娘」である
  • もののけ姫」では女は直情的、男は理性的
  • ナイチンゲールは鬼の実務家だった


でも、不満だったのは、結局この人がどういう物語を望んでいるか、というのがいまいち分からないこと。紅一点ばかりが幅を利かせている状態は不健全である。もっと広がりを持たせるべきだ。それは分かります。でも、そういうことを主張している人が、

こういうことをいうと、「もちろん、いた。あの番組では…」云々と重箱の隅的知識をひけらかす連中が必ず出てくるのだが、総体としてどうかを問うているのだ。


こういうこと言っちゃまずいと思うんだけどなあ……知識が足りないと自認している人が、総体を語るのって矛盾してません?おっと、自戒自戒。


「聖母エヴァンゲリオン」を10年ぶりに読みたくなったけど、面倒なのでやめ。