エロゲー⇒ライトノベル⇒エロゲーの流れ

http://www.techgian.jp/official/tg200605/
http://www.akibablog.net/archives/2006/02/post_322.html


先日、とらのあな店頭でテックジャイアン表紙にいとうのいぢ(さん)本人のシャナが描かれているのを確認しました。何かと思ったら、彼女が原画を担当する新作エロゲーが発売するということで、現在TVアニメ絶賛放映中のシャナで客を釣ろうという広告戦術のようです。毎回デモムービーなどの付録に力を入れているテックジャイアンらしい、と言えなくもないでしょう。


ライトノベルの絵師は18歳未満お断りの世界からやってきた人が多いです。人気作の絵師だけに限ってみても、あらいずみるいはエロ漫画家だったし(そのためかどうかは知らないけれど、初期スレイヤーズのイラストは今の漫画的なそれから考えられないほど肉感的だった)、安曇雪伸エヴァ全盛のあの頃、同人に興味があるなら一度はお世話になった人もいるでしょう。緒方剛志エロゲンガー出身。横田守に至ってはゲーム会社の代表取締役社長です。老舗である富士見書房が、以前は官能小説を出版していたことも関係しているのかもしれません。関係していないかもしれません。多分関係ありません。


そのことを非難したりする気持ちは全くありません。すてプリで興味を持った小中学生がふと、「安曇雪伸」でぐぐってみて何らかのショックを受けたとしても、それも10年経てばいい思い出。ここでは一先ず置いておきましょう。ただ、そういう感情を別にしても、最近エロゲーライトノベルの繋がりがより赤裸々になっている気がします。


以前、ライトノベル業界は少なくとも積極的にはエロゲー業界との繋がりを明らかにしてきませんでした。そちらで人気のある絵師を採用するにしても、せいぜい「PCゲームで大人気!」くらいの売り出し方だったでしょう。メイン読者の年齢層を考慮する気持ちもあったかもしれません。


今回のユニゾンシフト及びテックジャイアンの売り方は、はっきり言ってあからさまです。この場合、イラストの著作権が絵師にあるのか出版社にあるのかは知りませんが、同人でラフイラスト集を出すのとは訳が違います。他所の版権物を使うのだから、当然テックジャイアン編集部@エンターブレインメディアワークスに許可を求めた筈(どっちも角川系列だから身内なんだろうけど)。そして、それが許可されたからこうしてシャナのイラストが表紙に載っている。ご丁寧にファミ通文庫の(これが電撃姫かG`sマガジンなら電撃文庫の装丁で完璧だったろうに) 装丁を模した新作ゲームのパイロット版小説付きです。「小説付き」でもよさそうなものなのに、「ライトノベル付き」と銘打って、そちらのファンを取り込もうと虎視眈々。


他にライトノベルエロゲーの繋がりを積極的に強めているところと言えば、スニーカー文庫ニトロプラスがあります。元々外様色が強いスニーカーですが、ザ・スニーカー2005年4月号ではなんとデモンベインを表紙に持ってました。過去、ガンダムでも表紙になったのは一度きり(……のはず。ガンダムエースという専門誌が創刊したこともあるだろうけど)。これは、ニトロプラス関連のメディアミックスをスニーカーの一つの柱としていきますよ、ということでしょう。また、絵師でなく作者としては、MF文庫Jで看板の、どちらもアニメ化まで成し遂げた桑島由一ヤマグチノボルは、どちらもエロゲライター出身です。だからさっさとどこか田中ロミオラノベを書かせなさいと言ってるのに……と、まあここら辺は余談。


ライトノベル業界が、大物から無名の人まで、エロゲー業界から絵師を引っ張ってくる。ユーザーの数はともあれ、全国書店に並ぶライトノベルの表紙でより多くの人にアピールし、知名度上昇。新規ファンを連れてエロゲー業界に凱旋。故郷に錦を飾る。今、そんな流れが出来ているのかもしれません。