封仙娘娘追宝録(8) 刃を砕く復讐者(上)/ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫

刃を砕く復讐者(上)―封仙娘娘追宝録〈8〉 (富士見ファンタジア文庫)


通常、上下巻は1冊として感想を書いているのだけど、これに関しては、まずは上巻だけ。下巻の感想はこの下に書きます。


轟武という宝貝は、とある因縁から龍華と殷雷に恨みを抱き、復讐の機会を練っていた。一方、そうと知らない殷雷は自分の体にガタが来ていることを悟り、焦燥感を増す日々を送る。旅を続ける和穂と殷雷の周囲では、軒轅という組織を始め、様々なものが蠢動を始めていた……。


実は、最近情報が出るまで、私はこれの下巻が最終巻だと信じて疑わなかったわけですが、読んでみればそれも納得の展開。7巻までは幾つか思わせぶりな伏線を貼りはしても基本的にその時々の宝貝回収に話が終始していたのが、今回はメインとなる宝貝が存在せず、人間界の村長代理、夜主と梨乱、断縁獄の中にいる恵潤たち、そして仙界の龍華と、今まで出たキャラが多角的に話に絡んでいきます。それはもう、今まで貼られてきた伏線でこの巻に出てこないものはないというくらい。雰囲気もシリアスで、いつもの和穂と殷雷の掛け合いもありません。そりゃここで6年も待たされれば「伝説」にもなるわ。


と、下巻の感想を読む限りでは5年の歳月で文体が変わったことを指摘する声もちょこちょこあるようですが、実はこの上巻も、その前の奮闘編(2)刊行から1年ほど間が空いてるんですよね。既にこの頃から、その傾向は徐々に出ているようにも見えます。あとがきにあるように長年使っていたワープロからノートPCへの移行が、ろくごに何らかの影響をもたらしたのか。そういえば、ワープロネタで思い出しましたけど、現在はとっくに新規ワープロ専用機の生産・販売なんて行なわれないんですよねえ……私のとこでは2000年まで普通に現役だったのですが。現在は捨てられずPCラックの上で埃をかぶってます。