わたしたちの田村くん(2)/竹宮ゆゆこ/電撃文庫

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)


遠くに引っ越してしまった不思議少女・松澤小巻とは縁遠くなってしまい、高校入学と同時に出会ったツンドラ系・相馬広香と紆余曲折あって仲良くなった田村くん。だが、浮かれた田村くんを驚かせたのは、久し振りに松澤さんから届いた一通の手紙だった。というところで終わっていたのが1巻。


やっぱり、主人公田村くんのキャラを受け入れられるかどうかだよなー、という思いを強くした2巻目でした。意図せずとも二股をかけてしまうという状況に対して、何も行動しないでウジウジ悩んでいるのか、とにかく行動することを心がけるんだけど勢いだけなので空回りしてしまうか。この作品の場合、後者だったと。正直、その場限りの感情で行動してるところも多いんですが、この主人公をヘタレというのはなんか違う気がするんだよなー。どっちかっていうと、相馬さんが言うように「なにも考えてない人」なのではないかと。馬鹿が馬鹿なりに行動して、人を傷つけて、後悔して、立ち直って……というお話。同じような、田村くんの中だけで完結してる思考がループして、もうちょっと短くまとめられたんじゃないか、という気もしなくはないけど、まあ私はおおむね受け入れられました。


全2巻、最後まで田村くんは全力疾走し続けました。が、ここにいたってまだ決着がついていないというのはどうなんでしょうね。こうするしかなかったという気はするし、決して悪くはないんだけど。そもそも、松澤さんと相馬さん、2人が実際に会ってすらいないのは作者の人の良心なのかなー。考えてみれば田村くん、自分と松澤さん、自分と相馬さんの関係について悩むことはしても、2人の女の子のどっちがいいのか、と比べることは全くしてないんですよね。ここら辺、彼の思考の一直線っぷりというか2つのことを一度に考えられない性格なのかな。ただまあ、器用な男が二股かける話なんて読みたくないので……いや、それはそれで面白いか?

田村くんてば、ひとりで悩んで、ひとりで思い込んでいるだけなんだよね。それがおもいきり空回りして、周囲の人間を傷つける。かれの行動はあまりにも感情的だし、かれの言動はあまりにもエクスクラメーション・マークが多すぎる。

http://d.hatena.ne.jp/kaien/20050910/p1より


まさにこここそ、私が面白いと思ったところなんですが、リンク先の人はそうは思わなかったようで。ここら辺、趣向の違いが出て面白いなーと。ただ、田村くんの心理描写が冗長すぎるきらいは、やっぱりありました。

攻めは多少雑でも勢いがあれば気持ちよく読めるが、守りの時も勢いだけで守ろうとしているのを読むとウザッたさを感じてしまったり。

http://d.hatena.ne.jp/sukemon/20050910#p3より

これも納得。まあ守りって言っても田村くんの場合、「攻撃は最大の防御」って感じですが。