西城秀樹のおかげです/森奈津子/ハヤカワ文庫JA
曰く「愛と笑いとエロス」のレズビアンギャグ(?)短篇集。周囲で評判なので読んでみましたが、あれですね、森奈津子という人は是非友達に欲しいタイプの人ですね。エロをお笑いに転化するってのはともすればオヤジ的な下品さを生み出しがちなんだけど、この小説にはあんましそういった匂いを感じない。いや、下品ではあるんだけどあんまりねちっこいものを感じないというか。どちらかというと陽気に豪快に笑い飛ばす感じ。表題作の「西城秀樹のおかげです」は終末後の世界に生き残った、新世紀のアダムとイヴになり得ない一組の男女、「悶絶!バナナワニ園!」では少子化、高齢化が進んだために同性愛が禁止された日本と、シリアスに書いても面白くなりそうな題材をああいう方向に持ってっちゃうってのは正直もったいなくもあるけど、それ以上に度胸あるなあと素直に感服。キャラ同士の掛け合い(特に「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」)は後輩も書いてたけど、オーフェン無謀編等の私が夢中になってた頃のラノベっぽいノリを連想させて、サクサク読むことが出来ました。難を言えば、一部作品はネタが先行し過ぎてややオチが弱いか……?でも、それを差し引いても十二分に面白エロかったです。森奈津子って今まで名前は聞くものの読んだことのない作家の1人だったんだけど、他の作品も手を出してみようかしら。
あーそうそう、あの解説は不要説を唱えたい。かなり萎えました。