ぴよぴよキングダム/木村航/MF文庫J

ぴよぴよキングダム (MF文庫J)
ぺとぺとさん」作者の新作。「ぺとぺとさん」は雰囲気先行で、キャラが多い割に描写不足があってもこういう味なんだろうな、と思いそんなに気にはならなかった。でも今作では登場人物の過去やSF設定など、明らかにこれはもっと説明されなきゃ駄目だろ、というものが多くて、それがあまり焦点をしぼらず雰囲気だけで話を進めてく作風と齟齬をきたしてる感じ。なんというか、鍵作品の核となる部分にファンタジー(?)でなく具体的な描写を持っていっちゃったような。1章と2章で視点が変わるのも原因か。個人的には2章の、1章と比べると大分饒舌になったあかり視点の方が好きです。

何かに興味を持った瞬間、あたしの母親はほんとうに綺麗になる。ほとんどグレイみたいに大きな目が、ものすごい吸引力のある輝きを帯びる。この目で見られたら、男はどんなふうに感じるんだろう。惹かれるだろうか。引くだろうか。

こういう言葉遊びは「ぺとぺとさん」には見られなかったものだと思うけど、結構好み。
結論としてはいいセンスを持ってるんだけどどうにも粗い、ということで。