ザ・サードⅦ 死すべき神々の荒野(上)/星野亮/富士見ファンタジア文庫 

死すべき神々の荒野〈上〉―ザ・サード〈7〉 (富士見ファンタジア文庫)
遊びが少なく、落ち着いた印象のある文章を書く作者。このシリーズも9冊目。昔は編集部も結構押しててうまくいけばスクラップドプリンセスの次のアニメ化ぐらいは狙えたかもしれないのに、一時期刊行が途絶えたばっかりに……。
今回はパイフウ先生の外伝的なお話。下巻が出ないと総合的な評価は下せないけど、待ちに待った本編が外伝、しかも上下巻というのは……毎回毎回分厚いのを出してくれるのは嬉しいけど、今回は1冊に収めるべきだった気がします。火乃香パートが余計でパイフウパートの緊迫感を薄くなってる。外伝だったらちゃんと外伝の話だけに絞るべきだった。
作者が登場人物を好きと言うのも分かるんだけど、少々美化しすぎのきらいも。いい人ばかりが出てくる話というのはそれはそれで構いません。でもそのことを描写し過ぎ。いや、自分のキャラを大事にする姿勢は好きなんですけどね。嫌味にはなってないし。ただ、自画自賛はもうちょっと抑えた方がいいんじゃないカナ?いいんじゃないカナ?和月伸宏劇エヴァを見て「これを作った人は本当にキャラのことが好きじゃないんだなあ」と言ってたけど、その辺は程度問題だよね。
イラストに関しては、刊行ペースがもうちょっと早ければここまで巻と巻で差が出ることもなかったんじゃないかと。