キノの旅Ⅷ/時雨沢恵一/電撃文庫

キノの旅 (8) the Beautiful World (電撃文庫)


やってくれたなシグサワー!


私はこの作品に限らずラノベはあとがきから読む方なんですが、そろそろその習慣は変えた方がいいかもしれない、と思いました。たまに衝撃の大きいあとがきに会うと、本編が頭に入らなくなるからなあ。しかし毎度毎度2chでアレだけネタを予想されてプレッシャーもあるだろうによくネタが尽きないもんだ。これを許容してしまう編集部もまた凄い。個人的には「電撃大賞殺人事件」が読んでみたいです。


本編は……2巻の時から指摘されてることではあるんだけど、ネタが枯渇しがち。アイロニカルな視点が薄れていく。雰囲気が好きなところもあるんで、面白くはあるけど。この話は特に最終的な目標みたいのもないし、普段は「アリソン」みたいな長編シリーズに専念して、いいネタが浮かんだら「キノ」を書く、みたいな方がいいかもしれんね。「アリソン」で長編も書けると証明したわけだし。……いやまあ、それでもやっぱり「キノ」が好きなんですけど。


イラストに関して。今回なんか微妙に絵柄変わった?意図的に色々変えてるっぽいけど。とりあえず見どころはメガネとメガネとメガネ。あとメガネ。「キノ」だけは黒星絵じゃなきゃ嫌だーと思える数少ないラノベの一つです。


最後に、物議をかもしているプロローグの「そうだね、あの人は……」「死ぬほど驚くかもね」発言について。とりあえず2chで出てる意見を大まかにまとめてみた。

・あの怪我では長く持ちそうもない⇒死亡(「船の国」冒頭イラストは三途の川)
・キノの性別を知らないため、数年後に再会してそれが分かるほどに成長していたら
⇒性別は1巻「コロシアム」で陸が教えてる描写がある?
・前回、今回とシズ様はキノに会う度死にそうな目に会ってる為次こそ死ぬ
・単純に今回再会した時のシズ様の驚きが尋常じゃなかったことを受けて
・キノのお腹の中にはシズ様の子供が……
・キノは大人の国で改造手術を受けなかったから大人にならない。 =年をとらない。
10年くらい後にキノと再会したシズは見た目の変わらないキノを見て死ぬほど驚く。

なんかネタっぽいのも混じってますが。最後のは一瞬危うく納得しかけました。だとしたらロリコンストーカーのシズ様はウッハウハ!だろうなあ。特に深い意味はないってのが正解のような気もしますが、まあ色々妄想するのは楽しいもの。でも、これで仮にシズ様は死んでるとしても、次の巻で出てきたところで必殺「刊行順=作品内時系列とは限らない」を使われるともう何も言えなくなってしまうのがなんともかんとも。そもそもこの話がアニメ版DVDについてきた書下ろし話という時点で終わってるんですが。誰かこれは、という説がある人は教えて下さいな。