夢野久作全集その9 ドグラマグラ/夢野久作/ちくま文庫

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
(せっかくなので、こっちの画像で)

言わずと知れた探偵小説の怪作。約650ページ。半世紀以上前に書かれたという割に通常の文はそれほど違和感を感じなかったけど、20ページぐらいずらりと漢文調の文章が並んでるところでは挫折しそうになった。
個性の強い登場人物、二転三転する展開、一度聞けば忘れられないネーミングなど読者をグイグイと作品世界に引きずり込む力は強く、退屈せず読むことが出来ました。ただ、言われてるほど衝撃は受けなかったかな……?というのも、饒舌な語り口で読者を混乱させるっていうのは、最近「イノセンス」で見たばっかりだったから。勿論活字と映像っていう違いはあるんだろうけど、そういう手法がわりかしありきたりなものになっちゃってるのかな。現代人が古典を読む場合、どうしてもそういう所はマイナスになっちゃう。でも、それでも尚長く読み継がれるから古典なんだろうし、普段あんましこの手の小説を読まない私でも楽しめることが出来たので、そこらへんは十分許容範囲。なんつうか、古典というものの持つ底力というものを感じました。これも補完が必要っぽい。ああ、また積み読が増える……
アァー、チャカポコチャカポコ……