ヴァルプルギスの後悔Fire4./上遠野浩平/電撃文庫
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/12/10
- メディア: 文庫
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炎の魔女の物語、ここに完結。絡み合った伏線を収束……させることなく放置して凪だけを駆け抜けさせたというかなんというか。色々壮大な設定が出てきたものの、終わってみれば凪がずっと気にかけていた(作中では約1年しか経過してないことに気付いてビックリ)あのことを払拭するための舞台装置でしかなかった気がする。死者がすっげー影響力を持つってのは上遠野作品の基本だけど、凪の百合ヒロインレースでもそれが適用されるとは。あかりちゃんの永遠の想い人がジュディであるのと同じか。しかし、「あのなつかしのキャラが再登場!」って書くとなんだかいつも通りにしか聞こえませんね。それ以外のキャラは、いつも以上に好き勝手に動いてるように感じた。散々いじめられた織機はわりとベタに落ち着くところに落ち着いた感じ。統和の和はやっぱり和子の和なのかな。
ところで、新刊が出るたびにそこそこ感想を語ってる気がするけど、自分は決して上遠野浩平のよき読者ではない。「ソウルドロップ」「事件シリーズ」は1、2作読んだきり放置してるので単にそんなに作品を押さえてないというのもあるんだけど、自分がなにを求めて上遠野作品を読んでるのか今もって分からない、というのが大きい。現代の若者すなわち俺たちを描いた青春小説という評には「笑わない」当時から首をかしげるばかりだったし、クロスオーバー?もその場その場では楽しんでるものの……。作品としてはペパーミントの魔術師、ハートレスレッド、それにしずるさん(百合枠)辺りが好きなんだけど、またそういうのが読みたいかって言われると、うーん。愛着が特に強い作家かって言われるとそうでもないしなあ。惰性?いや読めば大体楽しいよ。……だから、感想書く人が最盛期に比べると少なくなってきてる現状、自分が熱心なファンに見えてたりしたらちょっと申し訳ないなあ、と思わなくもない。余計な心配か。
毎度お世話になってる巻末の上遠野浩平著作リストは今回「パープルヘイズ」「100の問答」「酸素」が抜けてた。でも「酸素」より後に出た「アウトギャップ」「アンノウン」などは載ってる。他の出版社の刊行物でも可能な限り載せてるもんだと思ったけど、どういう基準なんだろうこれ。スペースはまだあるのに。ぐぐってみたら前回の「ヴァルプルギスの後悔Fire.3」でも抜けがあったらしい。この著作リストって電撃文庫というレーベルに対し自分が好感を抱いてる点のひとつなんで、できればちゃんとしてほしいな。あんまり儲けに直結しそうにないサービスに期待してる時点で、わがまま言ってるとは思うんだけど……。