魔術士オーフェン(一期)
EMOTION the Best 魔術士オーフェン DVD-BOX
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: DVD
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インタビュー等でわたなべ監督は低年齢層に向けた作品作りを強く意識した発言をしている。アザリーとチャイルドマンの関係やクリーオウのサービスシーンなど大人の雰囲気を匂わせるシーンがちらほら見られる一方で、全体的には清く正しい児童向けという話数が多いのは、その辺りのバランスを取ろうとしたのだろう。それに合わせてオーフェンがわりと正統派ヒーローで、起承転結もしっかりしている「獣」をベースにし、「行方不明の姉を一心に探す」が主軸で、それ以外のエピソードは余禄というか最終話のための踏み台というか、まあそんな生真面目な作品となっていた。草河先生に「女々しい」とまで言われた(笑)原作のナイーヴな部分は薄れ、男らしく、かっこよいオーフェンに魅了されたファンも多い。森久保祥太郎というチョイスもそれに準じた結果だ。
だからストーリー上の主軸に関係ない「既成のFTから少しズレた、緻密な設定」「魔法使いなのに肉弾戦メイン」「アクの濃いキャラクター」「軽妙な掛け合い」など、原作で受けた要素はことごとくスポイルされている。しかし、ベースにしている「獣」自体シリーズ全体から見るとある意味パイロットフィルムでしかなく、それらの要素がきわめて薄いことを考えると、アニメがつまらないと感じるならそれは原作(の序盤)自体がつまらないからだ、とは強弁できなくもないかもしれない。
原作「獣」に対して、アニメはありえたかもしれないハッピーエンドを追求したIFのポジションにある。アザリーを探し出し救うために本人曰く「ただうろうろと大陸中を当てもなく右往左往していた」原作に対し、バルトアンデルスの剣が発掘された天人の遺跡を訪れ手がかりを探すという手順を踏んだアニメはなるほど理に適っている。それに、クリーオウやマジク、ハーティアやチャイルドマンといった周囲の人間たちとの関係も良好で、一人で思いつめていた原作に比べ、より強くオーフェンの行動に影響を与えている。だからこそあの結末を迎えることができたんだろう。
以下は2年ほど前に再視聴した時に書き散らしたもの。
キャラ
- オーフェン
- クリーオウ
- 原作より分かりやすくオーフェンに対してヒロインヒロインしてる分行動は控え目。旅の最中もずっとスカートだし。「女の子ドリームという観点からみるオーフェン」としてはこっちの方がベタ、なんだろうか。オーフェンも顔立ちが濃く体格がしっかりしてて、マジクリがそれを見上げる、という構図が強調されている気はする。この作品でドリーム小説書いた人とかもいるのかなー。
- クリーオウに対して「遊びじゃないんだよ!」と言い放つオーフェン。原作ではたくさんの人が言ってほしい台詞ではあるんだろうなあ。同時に原作オーフェンなら絶対に言いそうにない台詞だけど、アニメの二人の関係ならまあ言いたくもなる。
- パットをつけるひつようがないだけあって(?)胸もお尻も結構強調されるクリーオウ。
- 寄宿学校に入ってたってのは親に入れられたのかな。
- 飯塚雅弓ってスレイヤーズに出演してたのね。OVAのゲストキャラだけど。
- マジク
- 一ヶ月教えても効果が一向に現れないマジク。天才設定はなし。
- 「飛んでけ、○○!」っていうアニメオリジナルの呪文はマジクのキャラを立たせるためだったのかしら。
- チャイルドマンの名前をマジクが最初から知ってる。
- 覗きをする時ふっつーにクリーオウの裸に見入ってる。その「狼」ではサルアがいなくなったこともありマジクのタラシという印象がますます固まった。なんでナチュラルに後ろから上半身裸で抱きつくんだよあの洗剤。最終回でも別の女に同じことやってたし。その割に思春期前の子どもっぽくもあり。
- アザリー
- 篠原恵美、声が美人過ぎる……。さすがロサ・キネンシスやで。/今ナチュラルに「あれフェティダ?キネンシス?」と考えてしまったことに絶望した。
- 髪長いとティッシにしか見えない。この時点では続編でティッシ出す予定なかったのかなあ。
- 23話のサブタイは「初恋編 アザリーの前髪」で。
- あの贖罪は原作基準だとナシ。仮にチャイルドマンをもう一度、あの通りに育てることができたとしても、「過去は終わる。終わって、そして変えていかなくちゃならない!」が基本の原作では贖罪にならない。が、アニメのオーフェンならあれくらいやってのける、かもしれない。噂によるとアレ、秋田のアイディアだったらしいけど……?
- チャイルドマンの最愛の人であるイスターシバに対抗して母になったとか?いやでもアニメにはイスターシバの影も形もないんだよな。
- フレイムハート
- とは一体なんだったのか。原作におけるハイドラントの役どころで、《牙の塔》の権力とか名誉とかを象徴するキャラであり、エルダーを母親に持つってのはそこらへんを分かりやすくするためなのかなーとは思うんだけど、死に様はあれでよかったんだろうか。あとチャイルドマンとアザリー関連を引っ掻き回すの役割。……あー、擬似家族であるところのチャイルドマン教室と対比されてるのかなあの母子は。対比してどうする、という話ではあるけれど、だからこそあの二人はあの世界において異質で、存在感があったという気はする。
- 子安武人の演技もあって存在感はすごかった。結構好きなキャラではあるんだけど、だからこそ最後のあれが不憫で……あのキャラにはアレが合ってたのかな。
- その他の人々
- 原作ではそれまで顔が描かれてなかったマリアベルさんは初登場時にオーフェンと目が合って赤くなったシーンが一番可愛い。ティシティニーは比較的まともっぽい。
- オーフェンを一人前。テイクアウトで、で有名なハーティアさん。オーフェンにもうお前のことが信じられないみたいなこと言われてショックを受けたり、なんだか受け受けしいキャラに。置鮎的には後のウサミミ仮面の布石か。わりと一発ネタだったものを何度も再放送されて作者はこっぱずかしかったんじゃないかと思わなくもないんだけど、アニメに合わせて「袖すりあうも他生の縁」書いてるし、そうでもないのか。
- ハーティアの同僚のオリジナルキャラ・ライさん。美形要員?
- ボルカン・ドーチンはなぜかブラッディオーガストと友誼を交わすポジションに。
- 椎名へきるの声優業って実はドーチンくらいしか触れてない……?>俺
- サルアの存在そのものが削られたのは、キムラック編やらないならまあしゃあないか。
- せっかく堀江ボイスなのにフィエナあんまり可愛くない。あのキャラデザを可愛く描くってのも結構難しそうだけど。草河センセも「可愛く描いてやれなかった」というようなことをどっかで言ってたし。
- ドラゴンの密猟を企むバトラフ(マクドガル)。元キムラック教師の思考がボルカンばりに……。
- 街の住人に排斥されてるとかそういう背景がないのに表面的なキャラだけそのまんまなステフとか、うーん。
- 20話のチャイルドマンが持っている写真に未登場のフォルテ、コミクロンと2期から登場するティッシを確認。でもはっきりとは描かれてないなあ。
世界設定
作画・演出・音楽等
- 監督のわたなべひろしは、劇場版・OVAスレイヤーズの人。他に桜美勝志(桜美かつし)、福田道生、久城りおんなど。
- 作画・キャラデザなど
- 相澤昌弘のきらきらしいキャラデザには賛否両論。とりあえず男女ともに美形も多けりゃサービスカットも多い。チャイルドマンとか「美男子じゃない」とはっきり明言されてたのにな……。98年の作品だけあって、止め絵は気合入ってるけど1話でも動きは少ない。というかキャラデザがそもそもガシガシ動かすこと前提にしてない気がするなー。ちょっとでも崩れると悲惨なことに。
- 9話、脚本:山田靖智、演出:則座誠、作監:宮田奈保美、原画に加藤洋人ってそれなんてTVAスレイヤーズ?そらクリーオウに八重歯も生えるわ。ってそもそもイージー・フィルムが制作協力してたのか。
- 11話、作監:つなきあき。今はなきゆめ太カンパニー回。
- 26話、それまでの流れとは無関係にでも感動させられるアニメの力はすごい。
- 音楽
- 「ラストキッス」は「キエサルヒマの終端」の主題歌に採用していいでしょー?というくらいには好き。
- 劇中音楽無駄にかっこいい。でもはたけって映画やアニメの音楽これしかやってないよな多分。
その他
- 「アザリーは必ず俺が元の姿に戻す」「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」
- 「今日から俺はオーフェン(孤児)だー!」って視聴者のお子様は音だけで意味分かったんだろうか。「今日から俺は孤児……オーフェンだー!」とかの方がよかったのでは。
- 4話、11話の「いい話だけどいい話なだけ」感。
- 18話「てめえら、とっとと剣返せ!」なんで突然無謀編風タイトル?
- アニメのムックで名和宗則が描いてたアザリーは大分原作寄りだった。
- 映像特典:原作・アニメ主要スタッフインタビュー。秋田はこの時25?26?わけー。つーかアフレコ観に行ったんだ。
- 草河センセのご尊顔初めて拝見した。ゆうきまさみの自画像に似ている。
- J.Cの松倉Pって秋田のひとつ年上で当時既にプロデューサーだったのか。