ふるこんたくと!/あすか正太/角川スニーカー文庫


それまで修行一筋の朴念仁だった主人公・御統一路は、女体の神秘に触れたことで開眼。胸にある点穴を突くことで(いろんな意味で)敵を倒す御統活人流を作り上げた!かくして天然バカの一路は御統活人流の腕を磨くため、今日も暴れまわるのだった……。(こんなの最近週刊少年サンデーでも始まりましたね)。「ハートに一番近い場所」「だから、ふたりにプロポーズ」「想いを閉ざすアツい壁」「胸さわぐ愛のオーラ」の全4巻完結済み。


インターネットの普及によりエロ画像を見るだけならクリック一発で済むようになった昨今。ライトノベルにおいても、女の子が脱ぐにしてもただ脱ぐだけじゃなくて、主人公とどういった関係にある、誰が、どういったシチュエーションで脱ぐか……といったことがますます重要視されるようになってきているように思う。あかほり作品における美少女要素ってのは、わりと直接的なお色気ネタなんですが、美少女ゲームの台頭以降、「美少女と過ごす日常」だとか「何気ない好意のあらわれ」だとか、日常性・精神性が重視されるようになったこととも無関係じゃないだろう。そういう作品も楽しんではいるけれど、もうちょい気軽に読めるエロコメラノベも欲しい。そういったことを考えていたところで手に取ったのがこのシリーズだったのだけれど、なんだかやたらとツボだった。


基本的に作品中の全ての事件は、一路が乳の点穴を突くことで解決される。こういったおバカな設定をウリにした作品にままある、その設定自体に何か深遠な意味を持たせたり、並行してシリアスなストーリーが展開されたりといったこともなく、設定から想像される話の外に出ることはまずない。最後まで「エルフは脱がーす!」的なテンションが維持される。文章は改行多めでテンポもいい。(ラノベ作家としては)そろそろベテランの域に入る作家の職人芸、という感じだった。同作者の、同じくエロを売りにした(但しこちらは純愛路線で比較的シリアス)「初恋マジカルブリッツ」が合わなかったのでちょっと敬遠していたのだけど、他の作品も読んでみようと思う。