カレイドスコープの少女/内藤渉/富士見ファンタジア文庫


ラノベ三大カレイドスコープの一作(あと二つは「カレイドスコープのむこうがわ」「銀盤カレイドスコープ」)。人間と見た目が変わらない機械人形が街を闊歩する世界を舞台にした、王道ボーイミーツガールFT。第9回ファンタジア長編小説大賞佳作。


ちょっと弱気な機械技師の少年と、病弱なヒロインと、ヒロインの伯父であり主人公が憧れる聖戦士団の中隊長。この3人の関係とそれぞれの心の動きが主軸。序章でヒロインが少年との思い出を回想するとなれば、その少年が主人公だったというのがオーソドックスだけれど、この作品の場合は伯父がそのポジションについている。多分、ボーイミーツガールつっても恋愛そのものじゃなくて、主人公にとっては弱気な自分をどう変えるか、ヒロインにとっては病弱な自分がいかに伯父の庇護下から脱して独り立ちするか、といった恋愛を通した成長劇のほうがメインなんだろうな。それにしても、ヒロインの伯父に対する秘めた想いとかおいしい部分はうちょっと描写して欲しくはあったけど。


イラストは「フルメタ」開始直前(DMでの短編連載は98年7月号からだからほぼ同時?)のの四季童子先生。ほんと、この頃から作風が完成されてるよなー。今の作品と並べてもほぼ違和感ないもん。


作者のこの後の作家活動は、2000年に短編を1本、2006、7年に短編を数本書いているようだけど、単行本刊行まではなかなか漕ぎつけられていない様子(但しこの「カレイドスコープの少女」の4年前にソードワールド短編コンテストに入選してたりする(asin:4829125551)(asin:4829126558))。「星のファムファタール」とか1年以内に結婚相手と探さなければらないナンパ男とツンデレロリのハートフルファンタジーでなかなか面白かったんだけどなあ……。