カナスピカ/秋田禎信/講談社文庫

カナスピカ (講談社文庫)

  • 目安通り3年経って文庫化。その間秋田botの製作作業などでちょこちょこ読み直していたし、大きな加筆修正はないとのことなので、作品自体に関しては特にこれといった感想はなし。3年前の感想はこれこれ
  • 表紙イラストは影山徹。塩田雅紀が手がけた単行本版(asin:4062138573)とは逆の視点だ。どちらも作中では描写されていないものの、これがあの本編の延長線上にあると言われたら誰もが納得するシーンを映像化していて、素晴らしい。セブンネットの書影はなんだかいい具合に赤みがかっていた。
  • 帯のコピーには正直「カナスピカはそんなこと言わない」と思った。
  • 3年前に作った『カナスピカ』感想リンク集(既にリンク先結構死んでる……)の中でも取り上げさせていただいたサイトに秋田禎信氏の作家としての構成物質から『独特』の部分を見事に綺麗サッパリ取り除いて、その本質的な根幹をツルツルの赤ちゃんの肌みたいに磨き上げたような作品という感想があったけれど、これは全くもってその通りだったと今になって思う。初の非ライトノベルレーベルからの刊行ということもあるけれど、この作品が出た前後ってのは火の粉→オーフェン期に次いで表に出ている活動が見られなかった時期でもあり、なんというか、秋田にとって、いやむしろ自分たち読者にとって、そういう生のままの部分を剥き出しにした作品に向き合わなきゃいけない時期に差しかかっていたんじゃないか、と思う。ブラックユーモアの「就職」、アニメノベライズの「RD」、単なる人気シリーズの後日談に留まらない「秋田BOX」、社会派オムニバスの「機械の仮病」、西部劇の「ベティ・ザ・キッド」、覆面作家シリーズの「冥王星O」、エロゲーアンソロの「村正」といった多彩な作品群は全て「カナスピカ」を基点としていて、継続的に秋田作品を追っかけてる読者が安心してこれらを楽しめるのもあの作品を通過したから、という気がしなくもない。継続的に追っかけてない人は普通に読めばいいけど。
  • 解説は単行本時の帯のコピーを担当した大森望。特に悪いものではなかったけど、そんなに目新しい視点があるわけでもなく、これなら夏葉さんか三村先生に書いてほしかったというのが正直なところ。めったぎりでもオーフェンの書評書いたの三村先生だったじゃんッッッ!!!
    • そういえば「はやぶさ」帰還に合わせて推すという手があったか、とは思った。最終目標はユキ先生が金髪ショタのカナスピカを描くところまで。
  • 発売以前に背表紙の色で悩んでいたようだけど、結局の背景をやや明るくしたような黄緑に。そういえば「楽園」で緑についてボルカンが批評するシーンがあったな。
  • 発売に合わせてカナスピカbotとかやってみたけど、5日はちょっと長かった。