ありすとBOBO-猫とマグロと恋心-/川崎康宏/GA文庫

ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)


ここ最近、GA文庫で2年ごとに出している川崎康宏の新作。といっても、二年前ぐらいに書いた原稿なのですが、わしの筆が遅いのでとりあえず続編分の原稿ストックできてから出しましょうという話で今頃になったらしい。5年以上前に電撃文庫で出た『ALICE』(asin:4840228388)の続編なんだけど、単発モノなので未読の人も問題ないとは思う。


多分世界初のマグロ漁獲規制を主題としたラノベ。もう少し内容を具体的に書くと、カナダ産の熊と魚屋のジジイとチャイナマフィアが、日本人の魚食文化とか毛沢東についてトミノアニメばりに思想をぶつけ合いながら、死んだ魚でレスリング。アリスはオニデレ可愛く、同級生男子が可愛い服を買いに行くのに付き合って着替えを待ってる時彼女に抱いた妄想とか、まるでラノベみたいな微笑ましい思春期男子の心の動きで、序盤はなんだか「アレ?今回本気で勝ちに来てる?作家生活16年目で?」と思ったのに、読み進めるにつれていつも通りになっていった(これくらいテンション高めのおバカ小説って実は川崎作品では珍しいほうなんだけど)

テーマがテーマだけあって、中盤のマグロ丼や兜焼きの描写も気合入ってる。食べ物描写が美味しい作品に外れなし、というのが確かなら、これは紛れもない名作。読み終わった後、思わずスーパーにマグロを買いに行ってしまった。


勝ちに行った甲斐あってアキバblogで取り上げられていたけれど、「パンティ」は少々おっさんくさい気もする。もう少し露骨に勝ちを狙いに行くなら、表紙はあのヤンキーッぽい服装でなく、オニデレくらい可愛い系に振っとけば、なんてことも思ったりした。イラストといえば、205Pのイラストはページ指定ミスってる?印刷工程上の都合とかなのかしらん。