エンジェル・ハウリング(4) 呪う約束/秋田禎信/富士見ファンタジア文庫

エンジェル・ハウリング〈4〉呪う約束―from the aspect of FURIU (富士見ファンタジア文庫)


処刑される寸前だったフリウをサリオンが救い、二人(とスィリー)は逃亡生活へ。ひとまず路銀を稼ぐためにハンターたちの精霊狩りに参加するが、意外にもそこでベスポルトの行方を知る精霊使いの老人に出会うことになる。


この巻ではマデュー親子、アイゼンとラズ、リス・オニキスなんかが登場する。こうやって見るに、フリウ編って基本的に女性はフリウ一人で彼女を男どもが囲んでいる、という構図なんだけど、しかし話に色気が全くないなー。元々その手の話を避けがちな秋田作品でも随一の(主人公の)色恋沙汰のなさ。


そういう役どころだと当初思い込んでいた同年代のマデューにしても、BL好きのお姉さん向けのカップリングなのかと疑ったアイゼンとラズにしても、男どもからフリウへの好意、というのは実際は別にしてもありうると思えるんだけど、フリウが誰かにそういう感情を向ける、ということがまるで想像できない。年頃の女の子なのに……というのはまあ偏見にしても、だ。サリオンの「女の子と二人っきりになると気分が悪くなる」発言は、フリウ編ではそういう話をする気はない、という秋田からの意思表示にも見える。単にフリウが子どもだからか、異性愛についてはミズー編の方でやってるからってことなのか……。


でもその割に「どうしてサリオンが、あたしのことを決めるのよ!」とか「サリオンは……あたしが、どこに行くって言っても、なにをするって言っても、いっしょにいてくれるの?そんなことは、できないでしょ。」とか「でもサリオンがあたしになにをして欲しいのか、なにを言ってもらいたがってるのか、分かんない」とか、聞きようによってはすごい危うい言葉を吐くから難しい。それに比べると「ベティ・ザ・キッド」は父親の敵討を誓った少女が、年上の同行者に対してかなり分かりやすく好意を抱いているようにも見えるな。