ミラクル☆トレイン〜大江戸線へようこそ〜 #12、13「もうひとりの乗客」「聖夜の軌跡」


ラストエピソードは、ガイドのあかりちゃんが元々は乗客だった!というところから始まり、記憶喪失の彼女の悩みを探し当て、解決しようとする。


ミラトレには悩みを解決しない限り降車できないという恐ろしい縛りがあったわけだけど、あかりちゃんにはそもそも悩みがない、そして何よりミラトレから降車したくなかった。駅たちも、あかりちゃんと別れたくなかった。それでも記憶を無くして寂しそうにしているあかりちゃんを知ってしまったからには絶対に彼女を降ろそうとした六本木くんがかっこよかった。ひょっとしたら「駅」という交通機関の擬人化された姿だから、「お・で・こ」の自虐ネタで新宿さんをさりげなく慰めようとする都庁さんにも和まされた。


しかし六本木くん、「それは……いいと思う」の一言でキャラ立てたなあ。最後の最後に。「六本木といえばボディコンが闊歩してた時期もあるからな。パソコンがぴちぴち好きでもおかしくはない」というのは本当だろうか。


総評、はこちらで言いたいことは大体言い尽くされているけど、一応。間違いなく今年ナンバーワンの名作だった。ゆめ太アニメならではのちょっと抜けた、しかしイケメンの精神性を持つ、人に恋焦がれる駅たち。可愛く気高いヒロイン。視聴者のツッコミたいところにツッコんでくれる石田犬こととくがわ。出オチの設定だからと言って手抜きせず、雑学のネタとして、時には裏設定として組み込まれるための緻密な舞台考証。基本設定すらネタにする、キャラの立ちまくった駅たちによる漫才。どんなお客様が来ても最後にはいい話にまとめあげる脚本。そして、「大江戸線の駅が擬人化して淑女の悩みを解決する」というルールで前半は比較的堅実にやっておいて、後半は失速するかなー思っていたら、前半で定着したその枷を自ら破壊しますます何でもありのアニメとして暴走していく構成。毎週毎週、次は何が来るかワクワクしながら観ていた。そして、毎回必ずその期待以上のものを見せてくれた。深夜に声あげて笑ってしまって近所の人はごめんなさい。


青い花」から二期連続で、しかもまったく異なる性質の作品二つを成功させたカサヰケンイチ監督、安定したクオリティを保ってくれたゆめ太カンパニーの人たちには、ありがとうと言いたい。


大江戸線の後の大江アナこと「麻理子の部屋」(asin:B002VNE6TU)と一緒にいつか二期やってくれないかな。DVDにはペットの音声なしバージョンも収録しているらしい。まりこすわぁ〜ん!


「あなたも、駅に恋しませんか?」「してみる?」バカ!もうとっくにメロメロだよ!