「機械の仮病」第1回 in 別冊文藝春秋

別冊 文藝春秋 2009年 05月号 [雑誌]


3段組16ページ。文藝春秋社のサイトで冒頭部分が立ち読み可。内臓や筋肉といった体の一部が、自覚のないままネジ、歯車といった機械になってしまう「機械化病」。しかしそれで痛みがあったり、ましてや死んだりするわけではなく、機械は病気になることもないのだからかえって調子がよくなるくらい。そんな少し奇妙な病気が蔓延している世界の話。


ラ板で言われてた通り、秋田の好きな安部公房っぽいシュールな話で、体が機械になるというのは『エンハウ』における「硝化」の変奏なのかなーと思ったりした。重要っぽいキーワードは「人は整頓が好きだ」「会話の調和」「そんなことじゃあ、なにも分かりはしないよ」。短編としての味もあったんだろうけど、もうちょっとねちっこく書いてほしかった気もする。続き物じゃなくて連作とのことなので、次回以降は同一世界で別の人物を主人公とした話になるのかな。


あ、あと著者紹介にミス発見。『鬼の話』は審査員特別賞じゃなくて準入選ですがな>文藝春秋社の人。いかにも審査委員特別賞とか取ってそうな作風だったけど。……今見たら『しもそ』『RD』も審査員特別賞になってた。なんで誰も指摘しないねん。


秋田の短編1本のためだけに1500円出すというのもアレなので色々眺めてはみたけど、酒見賢一泣き虫弱虫諸葛孔明』今回も休載だったのはかえすがえすも残念だった。サイトのバックナンバー見たらこれで3号連続(隔月なので半年)休載なんだよなー。某所で体調不良との声があったけど、大丈夫だろうか……。