ズッコケ三人組の卒業式/那須正幹/ポプラ社ズッコケ文庫

ズッコケ三人組の卒業式 (ズッコケ文庫)


タイトル通り、50巻目、25年以上を経過しての最終巻。小学校6年間の思い出としてタイムカプセルを埋めることにした3人組が事件に巻き込まれる。


『未来報告』『文化祭』とも繋がりのある巻。タクワン先生の、「最近の子どもたちにはもうついていけない」発言(『文化祭』の時からタクワン先生はそんなことを考えていたのかもしれない)は、あとがきとあいまって那須先生自身、自分の著作が子どもたちに届いていないと言っているようで、危ういものではあった。時事ネタも多く、常に現代の子どもに向けて作品を書こうとしていた那須先生のギブアップ宣言に、どうしても見えてしまう。ただまあ那須先生がその後も児童文学畑で作品を発表し続けていることを考えると、自分が、ではなく三人組では現代の子どもたちに届く作品を書けなくなった、ということなんだろう。


時事ネタ、と言えば今回はデジタル時代における個人情報保護法なんぞを扱っていて、「最後まで三人組には走り回ってもらいます」というあとがきでの言葉通りのめまぐるしい終わり方ではあったけど、卒業式と事件が有機的に結びついてるように見えないのが残念だった。