まぶらほ〜にんげんの巻〜/築地俊彦/富士見ファンタジア文庫

まぶらほ―にんげんの巻 (富士見ファンタジア文庫)


90年代富士見懐古主義者の典型として距離を取っていたものを、今さら読んだ。同作者のデビュー作『ライトセイバーズ』は読んでて結構面白かったような気もするけど、あんまり印象に残っていない。


魔法がより多く使える方が偉い世界で、主人公は一生涯にたった8回しか使えない落ちこぼれ。しかし彼の先祖は偉大な魔法使いが多く、その遺伝子を狙って三人の美少女が現れる。


事前に抱いていた印象ほどラブラブコメコメしてなかった。というか、女の子を可愛く描こうという意識があるようにはあんまり思えなかった。別の意味でイラストに騙されていたみたいだ。今はむしろラブラブコメコメしたものをこそ読みたかったのにー。明るく楽しいラブコメ要素がデコイ、という意味では二ノ宮くんと通じるところがあるかもしんない。富士見のハーレムものと言えば『天地無用!』があるけど、以降そっちの系譜でヒット作ってあんまり出てない気がする。『火魅子伝』とか?


コメディメインのドラマガ短編連載なのに、刊行リストを見ると数巻単位で物語の流れを作ってるっぽいところも珍しい気がする。『風の大陸」は基本シリアスな連載がメイン(最初は違ったけど)でたまに番外編が出る形、『スレイヤーズ』『オーフェン』『フルメタ』のトップ3は単発短編コメディ、『棄てプリ』は書き下ろし連載共にノリ一緒で巻数表示もごちゃ混ぜ、『エンハウ』は書き下ろしと連載で主人公別時系列一緒のザッピングファンタジー。こうして見ると色々だなー。ちなみに、この短編第1巻のあとがきで既に「この短編がメインストリーム」と書いてるので、実はこの書き下ろし長編が本来の「本編」だったのではないかというのはちょっと違う気がする。


あとこつえーイラスト見て思ったけど、エアインテークって以前ほど見かけなくなったよね。当時は気にならなかったけど、こういう髪の生え際が今見たらやたら目につくようになった。