黄金の鹿の闘騎士/南房秀久/富士見ファンタジア文庫

黄金の鹿の闘騎士 (富士見ファンタジア文庫)


見世物の闘いで観客を楽しませる奴隷階級の少女たち。その中の一団で万年最下位のチームが、新たなパトロン兼コーチを得たことから優勝目指してどん底から這い上がっていくスポ根ファンタジー。第6回ファンタジア長編小説大賞二次選考突破作品を大幅改稿したもので、作者のデビュー作。


扱ってるテーマが重いだけに、批判は容易よなーと思った。例えば、仲間の脱走をかばったことでパトロンから鞭打ち100回の罰を受ける主人公。眼が醒めてみると、当のパトロンが寝ずに看病していてくれた。傷は魔術によってあと2、3日で治癒するという。パトロンは語る。お前が仲間を庇っていたことは分かっていたが、規律を乱すわけにはいかなかった。許してほしい……。そのいつにない殊勝な様子に主人公は思わずきゅんと……っておーい!いくら魔術によって傷がふさがるとは言え、水たまりができるほどの血が流されたってのに、それくらいのことでグラっときちゃうんかい!人間の感情ってそんな簡単なもんじゃないだろ!


まーラノベだし、ページ数が少ないから、ということで擁護する人もいるんだろうけど、登場人物もエピソードも多いからそういった心情の移り変わりとかがおざなりになってる気はした。


あと、安田均の解説が要約すると「尖ったところはないけど安定してるから将来性を買って」というもので、正直というかなんというか。