瘋癲老人日記/谷崎潤一郎/中公文庫

瘋癲老人日記 (中公文庫)


最初、タイトルの「瘋癲」を「癇癪」と勘違いしていた。でも、『癇癪(かんしゃく)老人日記』でもわりと通りそう。


七十七を迎え性能力を失い、余命幾ばくもない老人が、息子の嫁にひたすら執着する。谷崎自身、主人公のような老境に達してからの作品。片仮名と漢字による文章は多少読みづらかったけど、面白かった。悲劇と喜劇の狭間というか、泣ける話のはずなのに笑ってしまう、笑える話のはずなのに泣いてしまう。そんなのが谷崎の特徴なのかなーなんて。