宮本武蔵(2)/吉川英治/吉川英治歴史時代文庫

宮本武蔵(二) (吉川英治歴史時代文庫)

馬糧小屋の馬糧の中へ、二人は仰向けになって転がった。手と手だけは繋いでみた。体が納豆のように蒸れて来ると、城太郎は物狂わしく小茶ちゃんの指へいきなり噛みついた。
「ア痛っ」
「痛かった、ごめん」
「ううん、いいの、もっと噛んで」
「いいかい」
「アア、もっと噛んで、もっと強く噛んで―――」
犬ころみたいに、二人は、馬糧を頭からかぶって、喧嘩のように抱き合っていた。どうするでもなく抱擁をもだえ合っていた。


なんで急に谷崎潤一郎みたいなことに。


この巻では宝蔵院を後にし、柳生で合戦及びお通とニアミス、宍戸梅軒の小屋に辿り着くまで。又八は色々あって佐々木小次郎を騙ることになり、当の佐々木小次郎吉岡清十郎と出会う。


……何故かは知らんけど、1巻に比べて軽やかさ、とでも言うべきものが失われてる気がした。