キマイラ・吼(13) キマイラ梵天変/夢枕獏/朝日ソノラマ文庫

また智恵子が出てきた。舞台が小田原だし登場人物が大学生だしで、『怪男児』と被る。さておき、九鬼玄三が昔話を始めて、その中で更に大谷探検隊のことが語られて……と、螺旋のように話がぐるぐると深みにはまっていくなあ。そしてここから4年、単行本の刊行がストップするってんだから、リアルタイム読者の我慢強さは察するに余りあるものが。てか、この小説で安保うんぬんなんていう政治的な話が出てくるとは思わなかった。まあそっちには特に深入りする気配はなさそうだけど。