卍/谷崎潤一郎/中公文庫

卍(まんじ) (新潮文庫)


文豪の執筆した百合?レズ?小説。全編通して関西弁で書かれている。いいとこ育ちの人妻が美術学校で出会った美女に惹かれていく。


んだけど、『刺青』『春琴抄』『痴人の愛』なんかと違って、全然フェチズムが美化されてないのな。人妻と、人妻の夫と、問題の美女と、彼女の婚約者との関係がまるで昼ドラのよう。きれいなものを期待して読んでいくとどんどんドロドロとした人間模様にはまり込んでいく。それが苦痛ではあった。ひょっとして大谷崎先生、同性愛好きじゃないんじゃ……。が、ラストは圧倒された。