日曜日のアイスクリームが溶けるまで/清水マリコ/小学館

日曜日のアイスクリームが溶けるまで

十歳の京子も、二十六歳の未来社会に生きようとする京子も、家に帰って家族と向き合わなければいけないことだけは同じだった。物語と生きようと思うとき、家族はつねに最大の敵であり弱点になる。


26歳のOLが、幼い頃に一度公園で遊んだきりの男の子と再会する。しかし、その男の子は当時の姿のまま。周囲にあわせて自分を抑制するきらいが強かった彼女は、徐々に男の子と過ごす不思議な時間にのめり込んでいって……という話。


嘘三部作だと主人公が中高生男子なんである程度中和されてたけど、虚構と現実がごっちゃになることによって生まれる、社会―――職場だとか家族だとか恋人だとかの軋轢というか、おかしくなっていく主人公を見る社会の視線が痛々しい。ある意味ホラー。なるほど、ライトノベルでやってることを一般文芸で再現するとこういうことになるのかーと思った。