ガッツ&ブラッド 蒸気帝国騒動記/川崎康宏/GA文庫

ガッツ&ブラッド 蒸気帝国騒動記 (GA文庫)


前巻では川崎作品随一、というかいっそ唯一と言ってもいい堅物系萌えキャラだった副長が、あんなことがあったせいですっかり変わり果ててしまって……。でも、まあ、面白ければこれもアリっちゃアリか。


誰もが出るとは思っていなかった、約2年ぶりの続編にして作者通算10冊目の作品。その10冊の要約は、富士見で2シリーズ2冊ずつ。ファミ通で2シリーズそれぞれ1冊と2冊。電撃で1シリーズ1冊。そしてGA文庫で1シリーズ2冊。いや、1冊で終わったものをシリーズと呼ぶのは違う気もしますが。1995年の『銃と魔法2』から2000年の『隊長は倒れてる』の間の5年の空白期間を除けば、大体1〜2年に1冊。……よく生き残ってこれたよなあ。


内容はいつも通りのドタバタコメディ。今回はスチームパンクなお城が舞台。よくここまで無意味な話を書けるなーと妙な感心の仕方をする。そうは言っても勿論手抜きというわけではなくて、なんて言うのかな、ドミノ倒しって最初の一つを倒してしまえばあとは何もしなくていいけど、そこに至るまでの苦労には多大なものがあるよなーとかそんな。話のテンポを考えてかあんまり前面には出てこないけどメカのディティールにも愛着を感じる。


個々の作品の面白いつまんないはあるにせよ、流行り廃りの激しい業界でこの芸風をずーっと貫き通してる(ちゃんと読むと色々試行錯誤してる気はするけど)ってのは素直に凄いと思う。この人が言う通り、もうちょっといい目を見てもらいたい人ではある。