砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(上)(下)/杉基イクラ 原作:桜庭一樹
原作小説については、富士ミス版のあのイラスト、あの装丁、あのレーベルで出版されたことに意義があると思っている自分だけど、この漫画版の絵柄もよかった。あのどこふわふわした危うさが消えて、地に足がついてる感じ。漫画家の人が原作を自分のものにしてるなあ、という印象を抱いた。「好きって絶望だよね」辺りの台詞も原作の文章の中で読むとそうでもなかったんだけど、こうやって漫画に組み込まれると凄い前後の文脈から浮いてて、でもその周囲の現実から浮いてる感じが「砂糖菓子」として大事だよなあとか思った。
他の人の感想
私の中では <藻屑> というヒロインはもっと足元の定まらない世間ズレしたふわふわした少女のイメージがあったので、この漫画で描かれる <どこにでもいそうな少女> の <藻屑> にはちと驚いたり感心したり。 「ああ、こんな子が絶望の中に生きていたのか」 と。
http://d.hatena.ne.jp/aoiro-0/20080325#1206453740
小説では、世界を「山田なぎさ」という主人公の眼を通してだけ見ていたけれど、漫画にするとどうしても客観視になってしまう。主人公を、「山田なぎさ」を、外側から描写してしまう。
http://d.hatena.ne.jp/YU_Trash/20080308/1204967771
コミカライズものを読むとわざとっぽい雰囲気を感じることが多々あるのですが,この作品はほとんど感じないので良いメディアミックス作品ではないかと。
http://d.hatena.ne.jp/nagane/20080312#p1