ダブルブリッドⅡ/中村恵里加/電撃文庫

ダブルブリッド〈2〉 (電撃文庫 (0436))


来日した吸血鬼とそれを追ってきた宗教勢力。その騒動に巻き込まれた優樹の話。……このシリーズは一貫して食事シーンが多いけど、この巻は特にその傾向が強い。1章はいきなり居酒屋で主役が顔突っつき合わせて呑んでいるシーンから始まり、それが30ページほどぐだぐだと続く。翌日は同じ居酒屋で独り呑んでいた優樹が問題の吸血鬼に声をかけられる。吸血鬼に大量に血を吸われたといっては鉄分を大量に含むものを食べ、また吸血鬼に対抗するために食べ、特に吸血鬼とは関係なく焼肉も食べ、最後は1章を反芻するように主人公二人が居酒屋で呑んでいるシーンで〆。


これはアヤカシが人間を食べる、という行為と対比されているのだろうだろうか。人間を餌と見ることもあるアヤカシが人間と共存するということ。今回の吸血鬼は歳を重ねているためか、そこら辺の葛藤はあまり見られなかったが、後々登場する「虎くん」というアヤカシと、彼に好意を抱く女の子との間では大きな壁として横たわる。それだけに、いちいちあれを食ったこれを食った、という描写はひどくグロテスクなものに思えた。