さようならアルルカン/氷室冴子/集英社コバルト文庫

さようならアルルカン (集英社文庫―コバルトシリーズ 52B)


さようならアルルカン:表題作にして作者のデビュー作。協調性を持てなければ成長するとは言えないのか、とか。言葉にしなければいけないもの、しなくてもいいものとか。ある人の図書カードの履歴に沿って読書を進めるという習慣が気に入った。


アリスに接吻を:二人称小説。読者に話し掛けているようで、その実、作者は過去の自分と向かい合っているような気もする。鏡の向こうに映るのは空想か、それとも現実か。


妹:重い……。この短編集の中で唯一、思春期の袋小路で成長しないままにバッドエンドを迎えてしまった作品。


誘惑は赤い薔薇:これまでの3作に比べると、ずっとノリが軽く、明るくなった。中学生を見て、高校生が「懐かしい」「自分たちも年取ったなあ」などと言うこと。