六番目の小夜子/恩田陸/新潮文庫

六番目の小夜子 (新潮文庫)

そこには、登校してきた津村沙世子が立っていた。雅子と目が合う。沙世子はにっこり笑う。まだ話したこともない人と目を合わせて笑えるなんて、なんて自分に自信のある人なのだろう、と雅子は思った。

第一回目の進路相談会。運動会。中間テスト。
学校というのは、そういったシビアなものと、儀式的なものとを、同じレベルで、交互に平然と消化していく。そうした牧歌的な行事とのあいだに、自分たちの将来や人生が、少しずつ定められ、枝分かれしていっているということに生徒たちは気付かないのだ。


淡々とした文章だけに、文化祭のお芝居のシーンとか、染み入るような怖さがあった。