サイコダイバー・シリーズ(3) 魔獣狩り/夢枕獏/祥伝社ノン・ノベル

魔獣狩り〈鬼哭編〉 (ノン・ポシェット―サイコダイバー・シリーズ)


文成仙吉の物語だった、という作者の言葉に嘘はなかった。凄惨な、血みどろの物語の中に紛れ込んだ叙情性。仙吉が既に冷たくなっている女の死体を抱くシーンは、この物語を読む価値があると思わせるのに足る物だ。エログロ伝奇の中心的な存在と目されているけれど、『キマイラ』で自分が惚れこんだ小説家・夢枕獏の作品だということに、変わりはなかった。