福音の少年 魔法使いの弟子/加地尚武/徳間デュアル文庫

福音の少年―魔法使いの弟子 (徳間デュアル文庫)


デュアル文庫久しぶりに読んだけど、微妙なサイズと微妙に厚い紙質のせいで、相変わらず非力なオタクが片手で長時間読むには向かないなあ。


社会現象ともなった某アニメのweb産二次創作、という来歴ばかりが目立っているような気もするけど、この時点ではまあわりかしフツーの現代ライトファンタジーでしたよ。14歳の内向的な少年がある日、巨大な力を手に入れたところから物語は動き出す。彼を取り巻くのは、儚い雰囲気の、造られた美少女に、彼女とは対照的に明るく積極的な(でもトラウマ持ちの)、大学を飛び級で卒業したほどの頭脳を持つ、ドイツからやって来た天才ツンデレ美少女、何考えてるか分からない父親、父親にまとわりつく三十がらみの女科学者。全ての謎は、過去に起きた世界規模の大災害に端を発する……こう書いていくと、まあそれっぽいといえばそれっぽいのかな。個人的には、学園エヴァで垣間見せたような、意外とお茶目なところのあるゲンドウと、そんな彼を「可愛い人」として見ているユイさんを髣髴とさせる主人公の両親夫婦にニヤニヤ。あーでもあの二人も、既に漫画版『鋼鉄のガールフレンド』で公式に詳しいところが描かれてたりするんだっけか。今に始まったことじゃないけど、この10年で、ガイナと角川によって公式と二次創作の境目なんてあってないようなものになっちゃったなあ。


閑話休題。他にそういう楽しみ方をしている人がいなさそうなのでそんな読み方をしてみたけど、ここまで来ると一次創作とはほとんど別物として成り立っていると言っていいと思います。問題があるとしたら、いまいちお話の焦点が見えてこないところなんだけど、それはぺんぎん書房版を三分冊にしてるせいなのかな。とりあえずあと2冊読んでみてから判断。