お隣の魔法使い 始まりは一つの呪文/篠崎砂美/GA文庫

お隣の魔法使い 始まりは一つの呪文 (GA文庫)


珍しく、タイトルと表紙イラストから想起される内容と実際の内容が乖離していない作品。こういうのエヴリデイ・マジック、っていうんでしたっけ?ああいう話って、時代と舞台をどの辺りに設定するか、ってのが結構大きな問題だと思うんですけど、さてこの作品はというと、瞬間湯沸し機とかテレビとかいう単語が出てくるところを見ると、多分現代欧米の片田舎辺りが舞台なのかな。そこらへんが、絶妙のような、ちょっと違和感があるような……。


作者サイトでの裏話がちょっと興味深いです。

1冊が4章構成になっていますが、実質12話の短編集です。
 なぜこんなことになっているかといいますと、キノが売れるまでは出版社は短編集を嫌う方向で企画を立てていまして、今現在でも、短編集はいい顔をされません。これはGAさんがということではなく、業界全体の雰囲気がですね。実際、GAの編集さんから短編だとまずいからこうしてくれという指示は出ていません。自主的な構成ということです。


(中略)


そうそう、1巻2巻というのも如実に発行部数を減らされる目安になりますので、巻数は振らないでいます。代わりに、サブタイトルに数字が隠れているわけですが。

http://homepage2.nifty.com/SAMI/work/otonari_ura.htm


『キノ』にしてもこの作品にしても、短編集とは言っても主人公も舞台も一貫してて、この辺で言われてるような忌避のされ方をする作品ではない、と思うんですけど、どうなんでしょうね。巻数を振ると発行部数を減らされる、というのはシリーズ物で1巻の売上げがあまり芳しくなかった場合、それを参考に部数を減らされてあとは右肩下がり、というケースが多いからかな。