あさっての方向。(1)〜(3)/山田J太

あさっての方向。 1 (BLADE COMICS)あさっての方向。 2 (BLADE COMICS)あさっての方向。 3 (BLADE COMICS)


アニメ終了から1ヶ月ほど、ようやく読みました。アニメから入った人には滅法評判悪かったんで手に取るのを躊躇してたんですが、いや、そんなに悪くないですよこれ?


話の運びとしてはアニメは確かに色々いじくってますが、根底に流れるテーマみたいなものは、どっちも一緒じゃないかなあと。少なくとも、3巻でミステリアスなツインテールの双子が出てきて、願い石にまつわるオカルトめいた要素が強くなるまでは。子どもの頃、というか過去をやり直したかった椒子さんと、早く大人になりたかったからださん。二人が願い石にお願いした時、予期せぬ事態は起こる。


違うのはまず、願い石の扱い。アニメ版がまず心理描写ありきで、願い石とか終盤割とどうでもよくなってたのに比べ、原作はもうちょっと全員二人を元の姿に戻すことに邁進していて、そこに様々な人の思いが交錯する、とかそんな感じで、椒子さんとからださんも偶然願い石に関わった人の一人に過ぎない、という印象を受けました。アニメラストのように、願い石関連が棚ボタ式に解決するってのはだから、現在進行中の原作では多分ないでしょうね。


次に、どっちも雰囲気アニメとか雰囲気漫画とかそんな分類をされそうではあるんですけど、アニメが台詞少なめで終始淡々としてるのに比べ、原作は言葉は費やすんだけど、それが整理されてないというか、思わせぶりというか、この作品の展開が「カオス」「グダグダ」と評されるのはその辺にあるのかな−とか思いました。


最後に、男性陣の描かれ方。網野君は、私個人の好みはともかく、アニメではディスコミュで駄目な大人たちを尻目にひたすらがむしゃらに頑張るまっすぐな男の子、って感じだったのですが、原作ではそのストレートさ、若さゆえにからださんを傷つけてしまう、みたいなのもあったりして。そこは、漫画の方が掘り下げられてますね。あと、これが一番大きいと思うのですが……尋兄が、観ててもあまりイライラしない(笑)!アニメに比べ独白やなんかで(特に読者に対して)心情を吐露するシーンが多いからでしょうか。一番キャラが変わったのってこの人じゃないですかね。



からださんに対する視線も、どことなく危うげで不審者ライクなものでなく、溺愛してるのがはっきり分かる感じで、これならロリコンロリコンと言われることもなかったんじゃないかと。突然の事態に戸惑ってヤケ酒煽るシーンとかいいですね。……んでもそうなると、ますますアニメの尋兄はなんであんなキャラだったのか、って話になるよなあ。アニメでは、目が前髪に隠されて見えず、口数が多い方でもないので、何を考えてるか分からないキャラだったけど、こちらでは口先三寸で相手を丸め込んだり、といった接し方で(普段は)他人を深いところに入り込ませないという……んー、他人への接し方、ってテーマへの、別方向からのアプローチなのかかしらん。そういえば、漫画の中では、既に尋兄は「からださん」という他人行儀な呼び方を改めてるんですよね。

漫画アニメ感想リンク

http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20061019#1161286343
http://d.hatena.ne.jp/umikaoru/20061021/p1
http://d.hatena.ne.jp/Ahyahya/20061222/1166802998
http://blog.livedoor.jp/yami_yahma/archives/51273058.html


上から2番目の、原作既読の上でアニメに望んだ人の1話感想が、私と全然違ってるのが興味深かった。