星界の戦旗Ⅲ 家族の食卓/森岡浩之/ハヤカワ文庫JA

星界の戦旗〈3〉家族の食卓 (ハヤカワ文庫JA)


ジントは故郷であるハイド伯国に帰還し、正式な統治を始めようとする。これに、ラフィールも随行する。


紋章Ⅰでジントがハイド伯国の領主となった時点から期待してたエピソード。実際に地上に滞在した時間は短く、接触した現地の人も少なかったけれど、久々にジントが板挟み主人公としての存在意義を問われた巻。友人のクー・ドゥリンは人類統合体による<教育>を受けてアーヴを忌避するようになったのかもしれないけど、それが欺瞞であるとジントは証明することが出来ず、ラフィールもそれを否定しない。結局のところ、ジントがアーヴに肩入れしているのは、長年彼らと一緒にいたからで、もし彼が伯爵になどならずそのまま故郷にいればクー・ドゥ・リンと同じ考えを持つに至ったかもしれない。……でも、2巻でラフィールがジントのことを助けるために取った行動は、宿命遺伝子に反してるんじゃ?と思ったけど、どうなんでしょうね。


ジントが出した結論は、地上世界に干渉しない、興味もない、というアーヴの習慣を模倣してるみたいで、色々と考えさせられました。


……というかですね。2巻終了時から、ジントと殿下の間の雰囲気、変わってません?「わたしの顔を眺めていたい気分なのか?」「不思議じゃないだろう?」「オーニュ(ばか)」って。なんだこの新婚夫婦!いやアーヴには結婚の習慣はないらしいけど!これじゃエクリュアさんがなんかしても動じないわけだ。あああ、もどかしい。


次は『星界の戦旗Ⅳ』……と行きたいところだけど、中途半端なところで終わってるらしいんだよなあ。「『星界の戦旗』はまだまだ続きます」というならもうちょいペースを上げて欲しいんだけど……。Ⅴが出るまで、『夢の樹を接げたなら』か『星界の断章』でも読んでようかな。今までの周期を考えると、あと1年くらいで出そうだし。それとも『月と闇の戦記』でも読もうかな。