ヨコハマ買い出し紀行(1)-(14)/芦奈野ひとし

ヨコハマ買い出し紀行 1 (アフタヌーンKC)ヨコハマ買い出し紀行 (14) (アフタヌーンKC (1176))


最近は、外出してて中途半端に時間が余ると、漫画喫茶に行くことが多い。新刊なんかもチェックして、気に入ったのがあれば後日改めて購入する、というのが一つのパターンとなっています。この漫画も、そういう経緯で読んだ内の1シリーズなのですが、惜しいことしたなあ。


1994年に連載開始して、今年5月に発売された単行本14巻をもって幕を下ろした作品です。「ロボットの人」だから、何年経っても見かけはあまり変わらないアルファさん。「人間」だから、心身ともに変わっていくタカヒロたち。実際に12年という年月をかけて、ゆっくりとだけど、確実に変わっていく何かを描いた作品、ではあるんですが、完結した後、漫画喫茶での一気読みでは、「ゆっくりと」の部分を十分に味わうことは出来ていないのだと思う。言葉であまり説明したりせず、情景描写を重ねていく作風もこの場合はよくなかった(いや、俺の読み方がね)。何を焦っているのか、話をある程度把握できればそれでいいという読み方が自分の中で定着してしまっているので、自分の意思とは無関係にページを繰る手がどんどん早まっていってしまう。実際の時間の流れと、作品内での時間の流れのギャップに戸惑う。そういう、勢いが大切な作品というのもあるんだろうけど、これは多分そうじゃないのになあ。勿体ない。小説なら読む速度遅いから、完結してから読み始めても結局それなりに時間かかっちゃうんでいいんですけど。これほどリアルタイムで追っかけてればなあと思った作品も久しぶり。


12年だもんなあ。それをたかだか2、3時間だけあの世界にいた自分が軽々しく語るのも、なんか違うよなあ。


余談だけど、多分、世の中には2種類の人間がいるんじゃなかろうか。初読からじっくりじっくり味わって読む人間と、1回1回のペースは早いけど、何度も繰り返し読む人間と。自分は多分後者なんだと思う。