十二国記 風の海 迷宮の岸/小野不由美/講談社X文庫ホワイトハート

風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)


麒麟は、一国の王を選びその補佐をする神獣である。戴国の泰麟である戴麒は、まだ卵の状態の時に触という現象によって、別の世界に飛ばされてしまう。10年後、連れ戻された彼は麒麟としての能力も知識も何もない段階で、王を選ばねばならなくなる。


泰麒が可愛すぎ、そして可愛がられすぎ。同じく別の世界に飛ばされ、しばらくして連れ戻された、前巻の陽子が受けた仕打ちとは正反対だ。女性がお腹を痛めて子どもを作るのでないあの世界でも、母性愛とかは変わらないんだなあ、と女官や女怪たちを見て思いました。ただ、そうやって周囲が優しくしてくれるからこその苦悩というのもあって、それが物語の主題になってるわけですが。


ラストはちょっと拍子抜け。でも、話を聞いてるとこれからも泰麒の人生には障害がたくさん待ち受けてるらしく。その辺への伏線かなあ。しかし、自分では背約者のつもりだったのに、それすらも天の配剤だったというのは、ちょっと怖いですね。