雨の日はいつもレイン/川崎ぶら/角川スニーカー文庫

雨の日はいつもレイン (角川文庫―角川スニーカー文庫)


極上生徒会」の21話に、「晴れの日はいつもレイン」というタイトルがあります。これは、この回のメインキャラの名前が角元れいんだっていうだけで、あんまり深い意味はないと思いますが、やるなYousuke Kuroda。ぱやぱやー。


吉田戦車がイラストを担当した作品。91年発行。面白かったです。女子高生が、彼氏と別れたことをきっかけに物語は始まり、恋に友達に進路に思い悩む。筋自体は特筆すべきものはないのですが、主人公女子高生の一人称視点語りが独特でよかった。飄々としてて、たまにばしっと的を射たことを言う。

何百メートルだか何千メートルだかの空の上に、よりいっそう黒さを増した雲が招集かけられて、タイミングの相談。話がまとまって、地上に向け自由落下してくる雨粒の初めの一個に直撃される、かわいそーなあたしのツムジ。雨粒の質量と重力加速度と17歳の女の子がハゲる可能性の相関関係について心配したくなる一瞬である、とかね。
 ―――そんな風にして、ワケありな春休みの日の雨は降りだした。


出だしはこんな感じ。飄々とした女性一人称って言うと、私の中で小林めぐみの「食卓にビールを」なんですけど、あっちの方が大分肩の力を抜いてるというか、自然体なのに比べ、こっちは少々肩肘張ってる感じ?でしょうか。思春期特有のぎこちなさ、というか。ヒロイン言うところの「わかったような口をきく」ってのは、実は彼女自身にも向けられてるんじゃないかな―とか。


問題は、この作者の人は多分これが最初で最後の小説仕事ということ。漫画原作とかはやってるんだけど、また単独で小説書いてくれないなあ。