円環少女(2)(3) 煉獄の虚神(上)(下)/長谷敏司/角川スニーカー文庫
鴉木メイゼルが捕獲し、投獄されていた犯罪魔導師浅利ケイツが脱獄した。それが全ての始まりだった。事態は思わぬ方向に進み、相似世界最強の魔導師グレン・アザレイが<地獄>に降り立つ。
- 「似る」というテーマと物語を、色んな形でちゃんと同期させてるのがよかった。「楽園」「フリーダ」と、必ず何かしらのテーマに沿って話を作ってきた作者の面目躍如といったところでしょうか。
- 状況を同じくしたケイツとの三回のバトルは、メイゼルのその都度その都度のリアクションの違いを見せるため?
- 2巻にしてインフレすげー。例えるなら、まだ天下一武道会のての字も出てきてない内にサイヤ人が攻めてきたかのようだ。あれを倒せたのは主人公補正以外の何物でもないだろうなあ。
- ケイツのへたれっぷりは異常。というかケイツの描写にかける作者の執念は、何かよくないことでもあったんだろうか、と思わせるほど。
- 下巻であんなに劇的な別れをした割に、その後の和解にいまいちカタルシスを感じないなあ。まあ心情は説明されてはいるので理解は出来るけど、なんとなく、なし崩し的に和解してしまったような気がしなくもない。
- あとこれは蛇足だけど、この作品の魔法設定が、今読んでる本の「存在するとは知覚されること」という主張と被ってて、面白かった。